デュアーディンのトロゴス退治 2
デュアーディンの道
隊列はショクの桟道*1もかくやという細道を抜けて尾根に出た。目的地は近いが、周囲にはトロゴスの気配が満ちている。このまま峠を越えるのは危険だ。
しかしデュアーディンには別の道がある。すなわち彼らは石工と鉱夫の種族。地上が危険なら、峠の下をくぐる地下道を掘りぬけばよい!
鉱夫は先頭でツルハシを振るい、王子と兵士は身分の別なく土を運ぶ。みるまに伸びる地下道が中間点を越えたその時、不意に大地が揺れた。頭上の岩盤が砕け落ちて地下道を塞ぎ、鉱夫たちと本隊を分断したのだ。*2
不運に歯噛みしながら入口に引き返した彼らが見たものは、地震に驚き右往左往するトロゴスの群。今やひそかに峠を抜ける道はなく、敵に見つかるのは時間の問題となった……。
バトル2「激突、黒岩峠」*3
初期配置*4
「トロゴスどもは脳たりんだ。囮がいれば他の者は逃げられる」アンフォージドが言う。彼が囮を買って出ることは、一同デュアーディンなれば言うまでもなく、また聞くまでもないことである。*5
だが若き王子は首を横に振る。「そこもとには敵将の首を取ってもらわねばならぬ。策があるゆえ、囮は吾輩がつとめる」
その眼光に決意を見て取った戦士たちは、王子の意に従うほかないのであった。*6
第1バトルラウンド
王子は堂々と敵に向かい、古式に則り名乗りをあげる。それを横目に見ながら、兵士たちは全速力で峠のむこうをめざして疾走する。*7
峠の向こうからは、トンネルを掘りぬいた鉱夫たちが合流しようと近づいてくる。*8
王子の名乗りに応えるかのように、ひときわ巨大なトロゴスが進み出る。*9すわ一騎討ちと見た王子が威儀を正すや、後列の並トロゴスどもが嘲笑とともに一抱えもある岩を投げつけた!
怪物卑怯なり。直撃こそ避けたものの、砕けた破片を受けて膝をつく王子に、大トロゴスは呵々大笑して棍棒を振るう。*10
第2バトルラウンド*11
王子は倒れた。親衛隊は引き返そうとするが、いったい何が起きたのか、王子の姿は消えている。大トロゴスは目をみひらき、呆けたように足元をのぞき込んでいる……
そこに狂戦士の叱咤が飛ぶ。「走れ走れ走れ! 王子は生きとる!」*12
全ユニット脱出、ゲーム終了である。
祖先の遺宝
駆けに駆け、ようやくトロゴスをまいた兵士たちが見たのは、ゆくての山腹に立つ王子の姿であった。満身創痍で、見事な作りの古風なツルハシで体を支えているが、まぎれもなく生きている!
これこそ、沼地の宝箱に収められていた秘宝〈祖先伝来のツルハシ〉である。持ち主の危難に際しては、一息に何里ものトンネルを掘りぬく力を与えるのだ。*13
勝敗判定こそ敗北だが、戦死者はいないので復活の判定もなし。イベントも「何事もなし」だったので、次はいよいよトロゴス王との対決である。
(以下次回)
*1:ショクは地名。たぶん獣の領域ガウルのどこか
*2:ランダムイベントにより鉱夫が3名死亡
*3:バトルプランの詳細は→ https://w.atwiki.jp/aos_unofficial/pages/36.html
*4:左右の戦場端から3"以内は危険地帯で、落石による致命的ダメージの可能性がある。また、戦場の向こう側にたどり着いたユニットは脱出に成功したものとして盤上から離脱する。勝利条件はジェネラル(今回はワーデンキング)の脱出
*5:実のところ、勝利条件の達成だけなら難しくはない。初期配置はプレイヤーが選べるし、敵は一番近い敵に近寄るように動くので、自軍を戦場の左右に分け、囮ユニットが敵を惹きつけ、残りが全力移動を繰り返せば割と簡単に突破できる。正面から戦っても勝てなくはない。
*6:ここではむしろ次の戦いに備えて損害を最小化することを考えた。となれば正面衝突は論外。囮にはマイナーかアンフォージドが適しているが、第3戦は長期戦になる可能性があり、一兵も失いたくはない。そこでバトル中に撃破されても必ず復帰するジェネラルを囮とした。彼が撃破されると敗北だが、そのペナルティは重くない(指揮特性が得られないだけ)。ユニットを失う可能性を考えれば安い代償である。
*7:デュアーディン先攻。左翼のサンダラー、ハンマラー、アンフォージドは全力移動。ワーデンキングはほかのユニットより敵に近い程度の位置まで前進。
*8:移動フェイズ終了時に戦場端に配置
*9:ダンクホールド・トロゴス。ミニチュアはD&Dのストーンジャイアントです…
*10:岩によるダメージが3ポイント、棍棒のダメージがすごくたくさん
*11:デュアーディン先攻
*12:ゲーム上は戦死しています
*13:装備者+近くの1ユニットを戦場の任意の場所に移動させる。詳細は『ジェネラルズハンドブック2019』を参照。1ラウンド耐えればこれで脱出できたのだが、無理だった